武士の一分 三村新之丞は、近習組に勤める下級武士。毒見役という役目に嫌気がさしながらも、美しい妻・加世と中間の徳平と平和な毎日を送っていた。ある日、毒見の後、新之丞は激しい腹痛に襲われる。あやうく一命はとりとめたが、高熱にうなされ、意識を取り戻した時は、視力を失っていた。人の世話なしで生きられなくなった自分を恥じ、一度は命を絶とうとしたが、加世と三村家に仕える中間の徳平のために思い留まり、やり直すことを決意する。しかし、ある日、加世が外で男と密会しているという噂を聞耳にした新之丞は徳平に尾行をさせる。そして加世が新之丞の上士である番頭・島田と密会していることを知ってしまう。妻が家禄を守ることと引き換えに、番頭の島田藤弥に弄ばれたことを知った新之丞は、目が見えぬ体で島田に果し合いを挑む。
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